山陰の選挙

中村 中 氏

中村氏が初当選
 任期満了に伴う江津市長選が29日投開票され、無所属新人で元国会議員秘書の中村中氏(43)=自民、公明推薦=が、無所属新人で元島根県議の山本誉氏(64)との一騎打ちを制し、初当選した。43歳の市長は県内8市の中で最も若い。投票率は71.98%で、過去最低だった前回選(68.49%)を3.49ポイント上回った。

中村 中 氏なかむら あたる
肩書き 元国会議員秘書
出身 江津市出身
政党 無所属
現新 新人
年齢 43歳
最終学歴 東北福祉大卒
最終更新日:2022年5月23日

第一声要旨

ふるさと創生引き継ぐ

 

 故竹下亘衆院議員、高見康裕衆院議員に、秘書として仕えてきた。(2人が提唱する)ふるさと創生の意志を引き継ぐ。

 田中増次前市長、山下修市長とバトンが渡された24年間で市の財政が安定した。国、県、市の連携があったからこそ実現できたことであり、継承しなければならない。秘書経験が生かせるはずだ。

 江津市には子育て、教育、医療など、さまざまな分野に、課題とともに、未来への種がある。43歳の私に育てさせてほしい。次世代へと続く江津市をつくっていきたい。

▽中村 中(なかむら あたる) 43歳、無新
 高齢者福祉施設勤務を経て、2003年から21年9月まで、県西部を拠点に故竹下亘衆院議員の秘書を18年間務めた。22年2月まで高見康裕衆院議員秘書。嘉久志町。東北福祉大卒。

候補者の横顔

父と故竹下氏 政治の手本

 

 浜田市議として地域に尽くした父親の背中が、政治を志した原点だ。故竹下亘元衆院議員の秘書として仕えた18年間では、政治の持つ力と役割、地域課題解決に道筋を付けて住民と喜びを分かち合う姿を目の当たりにした。自らも表舞台で竹下氏が提唱した「ふるさと創生」を体現したいと出馬を決意した。

 誠実で丁寧な対応が持ち味。秘書時代に受けた地域からの要望は、内容によって実現が難しいケースもあった。それでも「納得してもらう努力を怠らなかった」と振り返る。地域に寄り添う姿勢を貫き、幅広く意見を聞くことが結果につながると考える。

 物事に動じない様子を示す「泰然自若」が座右の銘。自身の性格を「明るいが、細かなことが気になる」と分析し、通っていた空手道場に掲げられた言葉を肝に銘じる。

 休日の楽しみは映画や二時間ドラマの観賞。秘書時代から毎日忙しく、連続ドラマより、その日に見終える物語の方を好む。

 江津市嘉久志町。

政策アンケート

人口減対策

 少子高齢化での自然減は致し方ないが、社会増を達成するなど、これまでの江津市の人口減対策は一定の効果があった。働く場の確保のため、さらなる企業誘致を先頭に立って取り組む。意欲ある若者が自己実現の場として江津市を選んでくれており、引き続き起業し挑戦する人を後押しする。子育て世代支援のため、現在実施している中学生までの医療費負担軽減を高校生まで範囲を広げ、多子世帯へは第3子以降の子育てにかかる経済的負担を軽くしたい。子どもから高齢者までが交流する地域コミュニティーの活性化も重要な視点だ。

財政運営

 県内で下位だった厳しい財政状況が、現在は中位のところまで再建されてきた。財政危機を脱し、ようやく未来への投資ができる状況になった。市の貯蓄である基金も増えたが、近年頻発する災害への早急な対応にはこの基金が必要で、今後も一定の水準を維持したい。懸案の大型事業のうち、市西部統合小学校は子どもの安心安全の観点から最優先で取り組む。老朽化した図書館や空き家状態の旧市庁舎への対応は、将来を見据えた安定的な財政運営の観点から一度に解決できないが、市民の意見を聞きながら優先順位をつけ、取り組んでいきたい。

江の川治水

 江津市をはじめ近隣市町からの強い働きかけの結果、中下流部の治水対策として10年間で250億円の重点投資が決まった。市には日本初の流域治水推進室が設置された。マスタープラン(基本計画)も策定されたが、十分な対策には投資額がまだ不足している。将来世代まで住み続けられ、まちづくりと一体の河川整備が基本だ。住居移転の問題は、一番身近な行政機関として市が住民の声を聞き、まちづくりの視点を取り入れて進める。国、県、近隣市町との連携が不可欠で、秘書経験を生かし投資額の増額を含めてスピード感をもって取り組む。

産業振興

 江津市は工都として、地場産業の窯業に加え、市内各地や工業団地に誘致企業が進出してきた。サテライトオフィスの整備も行い、幅広い業種で進出ができる地域になった。雇用の場を確保するためソフト、ハード両面の企業に対し、先頭に立って働きかける。一部で実施されている誘致企業と地元企業の協業もさらに進めたい。桜江町との合併で1次産業の可能性がより一層広がった。1次産業の6次産業化を含む高付加価値化にも、市として支援する。ビジネスプランコンテストに代表されるスモール起業も支援し、挑戦できるまちとしたい。

観光振興

 国事業の活用と市内外企業の協力を得て、有福温泉の再生にようやく着手できた。泊食分離や、温泉リゾート施設・風の国を含めた体験型の滞在など、これまでにない取り組みを行うこととしている。国の支援が滞ることのないよう、事業者と一体となって働きかけていく。地域の特色を感じることも観光の魅力の一つ。石見焼のような伝統工芸、神楽などの伝統芸能が観光資源となるよう、取り組んでいく。観光は広域で取り組むことでさらに効果が上がるため、秘書時代のつながりを生かし、近隣市町との連携をこれまで以上に強化していく。

地域医療

 地域の医療体制確保は安心安全な暮らしには不可欠だ。済生会江津総合病院の常勤医の減少は大きな課題だが、即効性のある解決策は乏しい。私が先頭に立って医師確保に向けた働きかけを諦めることなく継続していく。地域枠での医学部進学者や医療系学校に進んだ学生に対し、在学中、卒業後を通して接点を持ち続け、地域医療に貢献する人材づくりを行う。地域に戻る学生に対する医療奨学金などの支援も実施したい。地域コミュニティーを核とした健康増進の取り組みで医療を必要としない人が増えるよう、地域活動への支援も行いたい。

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