人口減対策
人口減少は極めて深刻。この問題に対応した持続可能な市政運営を考えることが必要だ。定住や移住を促す子育てや教育への積極的な支援はもちろん、市が目指すコンパクトなまちづくりを前提としながら、将来の人口動向を見極めて、計画的な居住環境の整備を進めたい。老朽化した空き家は、解体促進に加え、畑や土地をパッケージにした提供も推進したい。地方で暮らし続けられる施策が必要で、その一つが農業を基本にしたオーガニックタウン構想だ。食を通して健康や教育、定住へつなげたい。人口問題に対してあらゆる手だてを講ずる。
財政運営
民間投資を誘発する経済波及効果の高い公共投資は積極的に行うべきだ。選択と集中で、市民が効果を実感できる支出を行う。要望が最も強い公共施設が図書館。本に触れるのは教育の原点であり、必ず解決させる。旧市庁舎は重要な歴史的建築物だと認識しており、保存活用を求める声も大きい。幅広く市民の意見を聞き、再利用の可能性を探りたい。市西部統合小学校は当初の計画から10年以上が経過し、統合そのものの是非を問う声も聞く。市全体の学校再編計画を再検討し、最優先で西部地区の小学校の在り方を決め事業を実施するべきだ。
江の川治水
置き去りにされてきたような江の川下流域の治水事業だが、10年間で250億円とされる国の投資を確実なものとできるよう、市として最大限の協力が必要だ。巨額投資で流域の安全性が高まっても、人口流出などで地域が疲弊してはいけない。まちづくりの視点を持った治水事業を考えることも大事。国道261号の改良促進や集団移転などでの集落再編の取り組みも検討し、住民の安全性と利便性を高める。桜江地域の持続可能なまちづくりにも寄与できる治水事業として進める必要がある。国、県、市の役割を明確にし、協働体制を構築する。
産業振興
山陰道の建設促進や工業団地の拡張整備などによる企業誘致は積極的に進めるものの、地域の優位性を高めることが必要だ。その一つとして産業人材の育成を根本的に考え直す。県西部唯一の工業高校を拠点的な実業高校として再編整備し、企業のニーズに応じられる人材を供給できるようにしたい。まずは江津工業高校とポリテクカレッジ島根との工業教育の連携強化から進める。誘致企業の従業員が近隣市町に居住するようでは効果が半減する。良質な賃貸住宅や宅地などの供給支援なども含め、全てにおいて企業に選ばれる江津を目指す。
観光振興
江津市の重要な観光資源である有福温泉は疲弊し、衰退の極みに達していた。幸いに県外業者の投資により再生の可能性が見えてきたが、市民が望み必要とする有福温泉の姿が何なのかを整理することが求められる。風光明媚(めいび)な日本海や江の川の生かし方も重要。万葉集に歌われる地域、江津本町、道の駅、波積ダムなども含め潜在的資源を掘り起こし、深い歴史と新たな文化を持つ観光資源をネットワーク化する。交流人口の増加のため、芸術文化やスポーツのイベント開催支援も重要だ。定住人口は減っても交流人口は増やすことができる。
地域医療
済生会江津総合病院を中心とした地域医療は、浜田医療圏域の中での方向付けがなされている。圏域内病院での機能を分担し、市としては先進的な取り組みであるメディカルネットワークの充実、介護医療における各事業所の機能を生かしながら進める。医師確保は、専門医を目指す傾向や医師派遣の条件などがあり、市だけでは難しい。県の強力な支援を得ながら解決し、必要最小限の機能は維持しつつ、再生を進めることが必要だ。各地域の個人病院の存在も重要で、市民がより利用しやすくなるようハードとソフトの両面での支援も考えたい。