10月から暮らしに関わる製品、サービスの価格や制度が変わる。加工食品やたばこといった幅広い商品で値上げが相次ぎ、長引く新型コロナウイルス禍で経済回復が見通しづらい中、家計には逆風となる。日本郵便は、はがきなど通常の郵便物の土曜配達を取りやめる。最低賃金は全都道府県で順次引き上げられ、非正規従業員の待遇改善につながりそうだ。
加工食品は、世界の需要拡大や天候不順による原料価格の上昇を受け、明治はマーガリンの卸価格を最大約13%値上げし、ニチレイフーズは11月に家庭用冷凍食品を4~8%上げる。味の素AGF(東京)の家庭用レギュラーコーヒーの店頭価格は2割上昇する見通しで、和洋菓子も上がるとみられる。
国が輸入した小麦をメーカーに売り渡す価格は2割弱上昇し、パンやうどんなど小麦製品の価格に反映されるのは来年1月ごろになる。
たばこ税増税に伴い、日本たばこ産業(JT)など大手は価格に転嫁する。紙巻きから加熱式まで多くの銘柄が対象で、JTの「セブンスター」(20本入り)は40円アップの600円となる。
東京ディズニーランド(千葉県浦安市)は、混み具合に応じてチケット価格を4段階に分ける。最繁忙期は700円値上げし、大人の1日券は9400円になる。
一方、三菱UFJ銀行など大手行や多くの地銀は、他行宛ての振込手数料を引き下げる。NTT東日本と西日本は固定電話から携帯電話にかけた際の通話料を安くする。
郵便の土曜配達は10月2日に廃止される。郵便物の取り扱いは減少しており、翌日配達も来年2月下旬までにほぼ取りやめる計画。届くまでの日数は1~3日延びる。速達やインターネット通販の普及で好調なゆうパックは土曜配達を続ける。
最低賃金が全都道府県で順次上昇し、全国平均は28円増の時給930円となる。非正規従業員の賃金が底上げされる半面、企業は負担増となる。
総務省は、携帯電話会社が端末を自社回線でしか通信できなくする「SIMロック」を原則禁止し、乗り換えしやすくすることで一層の競争を促す。スマートフォン決済大手のペイペイ(東京)は、中小加盟店から徴収する手数料を有料化する。加盟店の拡大ペースが鈍化する可能性がある。