自民党総裁選で岸田文雄前政調会長が新総裁に選出された。新型コロナウイルス禍での総裁選をどのように総括するのか。今後の課題は何か。11月に予定される衆院選にどう影響するのか。識者3人が論じた。

■東京工業大教授・中島岳志氏 「日和見」の姿勢を懸念

 岸田文雄氏は著書「岸田ビジョン」でアベノミクスを批判し、富裕層が潤えば低所得層に富が滴り落ちるというトリクルダウン理論を否定している。金融資産課税の強化を主張し、総裁選では「新自由主義からの転換」をスローガンに掲げた。

 これは「自助」を強調してきた安倍晋三・菅義偉内閣とは対極的な構想だ。欧米諸国の実質賃金が...