【ワシントン共同】米食品医薬品局(FDA)の外部有識者委員会は26日、ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンについて、5~11歳の子どもに対して接種を許可することを支持する意見をまとめた。FDAが正式決定し、米疾病対策センター(CDC)が推奨すれば接種が始まる。米メディアは11月開始との見通しを伝えている。
ファイザーは日本でも承認申請に向けて政府と協議を進めていることが27日、分かった。厚生労働省は、申請があれば迅速に承認の可否を審査する方針。日本では12歳以上が接種対象となっているが、審査を経て対象が広がる可能性がある。
米国で、この年代の人口は約2800万人。米国は感染縮小の局面だが政府は冬の再拡大を懸念、学校や家庭での広がりを防ぐために接種体制整備を急いでいる。
FDA有識者委の会合では、ファイザー側が臨床試験の結果を説明。12歳以上が使う3分の1の量でもウイルスが細胞に侵入するのを阻む抗体が増え、発症は90・7%抑えられたとした。接種後の痛みや疲労感が報告されたが2日ほどで消えたと紹介した。
このワクチンは若い世代を中心に、心臓の炎症がまれに起きるとされる。FDAの担当者は、感染者が少なかった6月ごろの水準でも、ワクチン接種の利益は副反応のリスクを上回ると評価。有識者委もこれを認めた。
ただ子どもの重症化リスクは低いことなどから慎重論もある。米メディアによると、有識者の中には「全ての子どもでなく、持病のある子などに対象を絞ったらどうか」などの意見があったという。
米国の感染者は4500万人を超え世界最多で、CDCによると5~11歳の感染者は190万人以上。ファイザーのワクチンは2回接種が基本で、米国では昨年12月に16歳以上、今年5月に12歳以上への使用が認められた。低下した効果を回復させる追加接種も始まっている。