ANAホールディングスの業績推移
ANAホールディングスの業績推移

 ANAホールディングス(HD)は29日、2025年度末までの5年間で人員規模を約9千人削減する計画を発表した。大半が国内従業員で、全日本空輸などANAブランドの航空事業に携わる人の2割超に当たる。22年3月期の連結純損益は、従来予想の35億円黒字から1千億円の赤字に下方修正した。コロナ禍で旅客需要の低迷が長引いており、黒字回復を断念した。今後の需要動向次第では、地方路線の追加減便が焦点となる。

 人員削減は、主に中核航空会社である全日空の地上職や客室乗務員らが対象で、傘下の格安航空会社(LCC)は含まない。20年度末の約3万8千人から25年度末までに約2万9千人に減らす。既に希望退職を募るリストラ策を実施済みで、今回発表した9千人分は基本的に定年や自主退職、採用抑制などで対応する。デジタル技術を活用した省人化でサービス水準を維持する。

 通期決算の赤字は2年連続となる。過去最大の赤字を記録した21年3月期の4046億円からは赤字幅が縮小する。売上高も従来予想の1兆3800億円から1兆600億円に下方修正した。

 ANAHDの片野坂真哉社長は決算記者会見で「人をたくさん抱える航空事業は感染症の大流行に非常に弱い。小さな会社になってコロナのトンネルを抜けたい」と説明。四半期ベースで連結営業損益が黒字回復するのは22年1~3月期になるとの見通しを示した。

 同時に発表した21年9月中間連結決算は、純損益が988億円の赤字(前年同期は1884億円の赤字)だった。売上高は47・7%増の4311億円で、コロナ禍の最悪期からは持ち直した。