あでやかな着物姿で列車に乗り込む参加者たち=雲南市木次町里方、JR木次駅
あでやかな着物姿で列車に乗り込む参加者たち=雲南市木次町里方、JR木次駅

 【雲南】着物を着て雲南市内を散策する観光イベントが7日あった。神社や町並み巡りのほか、JR木次線の乗車も組み込んだ。JR西日本が運行終了を発表しているトロッコ列車・奥出雲おろち号による観光振興に頼るだけでなく、普通列車の活用を促す。

 市内はコロナ禍により旅行者が減少。さらにJR西が発表した2020年度の平均通過人員(1日1キロ当たりの輸送密度)で、市内を走る木次線が133人となり、19年度比3割減と落ち込んだ。

 こうした状況を受け、指定管理する出雲大東駅(大東町飯田)で路線の利活用に取り組む市民団体「つむぎ」が、少人数向けに着物を着用して周遊する市内観光と木次線利用を組み合わせたプランを企画した。

 7日は参加者7人が大東駅で着付けし、自家用車で出発。日本初の宮である須我神社(大東町須賀)に参拝した。吉田町の町並みを散策した後、木次駅から大東駅まで普通列車に乗車した。

 町歩きした吉田町では道行く人に声を掛けられ、おろち号の見送りに訪れた出雲三成駅(島根県奥出雲町三成)でも、乗客から写真を頼まれるなど注目度は十分。雲南市大東町の公務員、安部千愛さん(38)は「着物を着て列車に乗るという特別感がある。沿線で降りて、写真を撮るのも楽しい。ぜひツアーができたらいい」と話した。

 今回のイベントを踏まえつむぎでは、市観光協会へ来春の桜の時季にモニターツアーの実施を提案する考え。着物を通して日本文化に触れてもらおうと、近隣自治体などに暮らす外国人の参加も検討している。 (狩野樹理)