短歌 宮里 勝子選

面を打つ構えをしつつかまきりが竿の上より吾を見ている     松 江 福田美代子

 【評】剣道の〝面〟を想像します。鎌を振り上げて向かってくるような真剣さに作者も思わず本気で見上げる場面。昆虫をひとつの命として見ている擬人法も一首に深みと哀愁を生み出す要素。

河川敷水禍に倒れしコスモスの色とりどりに咲くを褒め合ふ    江 津 佐野千寿子

 【評】江の川が危険水位に至り浸かったコスモスは、河川敷に倒れたまま花をつけている。色鮮やかに咲くのを確かめ元気を貰ったに違...