今春の新人看護師は、新型コロナウイルス流行で最終段階の臨床実習が不足したまま、不安を抱えてのスタートを強いられたことが、看護学生や看護師向けのウェブサイト「看護roo!」の調査で浮き彫りになった。
調査は今年6月、インターネットで実施。新人看護師466人、2年目以上の看護師2571人から回答を得た。
最終学年に病院で行う臨床実習は、新人看護師の41.2%が「ほぼ中止」と回答。「一部中止」も38.6%に上り、予定通り実施できた人は7.3%にとどまった。
実習が中止・短縮された432人で、就職時に「とても心配だった」「心配だった」と答えた人は合わせて60.0%の259人。心配な点(複数回答)は「看護技術」が96.9%と圧倒的。ほかには「ケア以外の業務」や患者や先輩看護師との「コミュニケーション」を挙げる声が目立った。
現場に出た後「実習中止・短縮の影響を感じるか」との質問には「とても感じる」「やや感じる」合わせて40.3%に下がった。ただ彼らを指導する先輩看護師の評価は「とても感じる」「やや感じる」合わせて43.6%とやや上回る結果になった。
厳しい状況で巣立った後輩を職場がフォローする様子がうかがえるが、東京慈恵医大看護学科の佐藤紀子教授(基礎看護学)は「来春の新人看護師はコロナ禍の影響をより受けている。受け入れ態勢をさらに整える必要がある」と話している。