給付を巡る費用
給付を巡る費用

 政府が経済対策に盛り込んだ18歳以下への10万円相当の給付にかかる事務経費が、現金とクーポンに分けて配ると1200億円規模に膨張することが分かり野党から批判の声が上がっている。昨年実施した国民1人当たり一律10万円の給付でも1400億円超を事務費に費やしており、12月6日召集の臨時国会で議論になりそうだ。

 財務省は26日の衆院予算委員会の理事懇談会で、10万円相当の給付に関し、現金とクーポンに分けると現金一括にした場合と比べ約900億円余計に費用がかかると説明。このため事務費は1200億円程度に膨らむことを明らかにした。

 松野博一官房長官も29日の記者会見で、クーポン給付の事務費として967億円を2021年度補正予算案に計上していると説明した。

 政府は子ども給付について、所得制限を設けた上でまず現金5万円の給付を年内に始め、残る5万円は子育て関連に使えるクーポンの形で新学期や入学シーズンの来年春をめどに配る方針を決めている。来年の5万円分は自治体の実情に応じてクーポンではなく現金での支給も可能とする。

 現金一括を避けたのは「給付金が貯蓄に回されたり、子育て以外に使用されたりするのを避けるため」(政府関係者)だ。ただ野党側は「厳しくチェックしていかないといけない」(立憲民主党の後藤祐一衆院議員)と臨時国会で問いただす姿勢を示している。

 昨年、国民に一律10万円を配った「特別定額給付金」では、12兆8802億円に上った予算のうち、申請書類の郵送など自治体の事務費として1458億円かかった。

 第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは10万円相当の給付について「そもそも子育て支援なのか需要喚起なのか政策目的が不明確だ」と指摘。「(一部を)クーポンにしたことで経費がかかり、費用対効果の面からも不確実性が高い政策になった」と話している。