広島市の原爆ドームが国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録されて7日で25年。人類初の原爆投下の地に「負の遺産」として被爆時とほぼ同じ姿で立ち、惨劇を今に伝えている。戦後、解体論もあったが、市民の声を受けて市が保存を決定。その経緯は、東日本大震災の被災地で起きた震災遺構の存廃を巡る議論にも影響を与えている。

 「われわれ被爆者がいなくなった後も核廃絶と平和を訴えてくれる」。被爆地ヒロシマの象徴となった原爆ドームについて、広島市の原爆資料館元館長、原田浩さん(82)は確信する。戦後、解体を求める声もあったが、子どもたちの運...