木原誠二官房副長官は5日、新型コロナウイルスワクチンの3回目接種までの間隔について、地方自治体の能力を踏まえながら、前倒しを進める考えを示した。「可能なところは前倒ししていただく」と明言した。米モデルナ製ワクチンの活用を念頭に、2回目完了から「6カ月以上」への前倒しを検討しているとみられる。後藤茂之厚生労働相は、新変異株「オミクロン株」の感染状況や、ワクチンの効果も考慮に入れる考えを示した。

 政府は3回目接種の間隔を巡り、当初は「8カ月以上」としたが、現在はクラスター(感染者集団)が発生した病院など例外的に6カ月に短縮可能と変更。自治体の混乱を招いた。岸田文雄首相は2日、接種間隔は8カ月が原則とした上で、前倒しの可能性を「引き続き検討していく」と記者団に述べていた。

 3回目接種は免疫を高めるのが目的で、ブースター接種とも呼ばれる。現時点では米ファイザー製ワクチンのみ薬事承認され、国内では医療従事者を対象に1日、接種が始まった。ファイザー製は1、2回目と異なる製品を打つ「交差接種」も認められている。

 木原氏はフジテレビ番組で、3回目接種を前倒しする条件について、承認を申請しているモデルナ製による3回目接種や、交差接種が今後、認められることを挙げた。これに関連し政府関係者は、オミクロン株は既存のワクチンでは効果が下がるとの分析もあり「オミクロン株にワクチンが有効という結果が出るのが前倒しの前提だ。モデルナ製でいいので早く打ちたいという高齢者を想定している」と語った。

 後藤氏はNHK番組で、ファイザー製、モデルナ製の2種類のワクチンについて「自由に選ぶのは、接種間隔が8カ月でも若干厳しい状況だ」と説明。一方で「総供給量に問題はない」とした上で「混乱が起きないように、どのように接種していくか考えたい」と強調した。

 当面1カ月としている、オミクロン株拡大に伴う政府の水際対策強化措置については「必要があれば、延ばすこともあり得る」と述べた。