松江市島根町加賀の漁業集落で1日に発生した火災は、民家や高台のコテージなど30棟を焼き、2日午後3時に鎮火した。1日午後4時55分ごろの通報から22時間後で、少なくとも21世帯47人が被災し、男女3人が軽いけが。島根県は2日、同市に災害救助法の適用を決めた。松江署や市消防本部などは3日、実況見分を行い、被害の詳細や原因を調べる。(古瀬弘治、片山大輔)
松江署や消防によると、民家や高台の宿泊施設「マリンハウス加賀」のコテージ4棟など少なくとも19棟を全焼し1棟を半焼、部分焼やぼやを含め計30棟と山林約2千平方メートルを焼いた。煙を吸った住民の男性(47)と住民の女性1人、40代の消防職員男性1人が軽症。死者や行方不明者はいないという。
市によると、市が設けた避難所に一時、18世帯54人が身を寄せた。7世帯が市営住宅への入居を希望している。親族宅に移るなどして2日午後6時45分現在、避難所にいるのは6世帯11人となった。鎮火後、安全が分かり帰宅した人もいた。
消火活動の影響で加賀地区の最大55戸が一時、断水。市が給水車で飲料水を提供した。また、中国電力ネットワークによると、最大120戸が停電した。いずれもほぼ復旧した。
2日に避難所を訪れた松浦正敬市長は「被災者の一番の心配はこれからの生活。一日も早く生活再建の見通しが立てられるよう全力で対応したい」と話した。災害救助法適用は1日付。避難所運営や住宅の応急修理などの費用は県と国が負担する。丸山達也知事は「松江市と協力し、被災者の生活再建に向け支援を行う」とのコメントを出した。
火災は、加賀公民館の西南西約160メートルの民家で発生。延焼家屋の男性(45)が隣家から煙が出ているのを発見し119番した。市消防職員80人と車両15台、消防団員180人と車両22台が出動し消火に当たった。2日朝に県防災ヘリも出動し、散水した。火災は東から吹く強風にあおられ、西の方向に燃え広がった。大量のがれきが重なって消火が難航し、鎮火に時間がかかった。