2021年も残り17日。今年を表す漢字1文字を島根、鳥取両県民に聞くと、「輪」との回答が最も多かった。紆余(うよ)曲折を経た東京五輪の強い印象や、新型コロナウイルス禍で人と人の繋(つな)がりの大切さを実感したとの思いが反映された。次いで、五輪のメダルから想起される「金」、コロナ禍で激変した生活がにじむ「変」「耐」が多かった。

 10日から13日正午まで、記者の取材や、さんいん特報班のLINE(ライン)を通じ、両県の男女計110人に聞いた。

 「輪」を選んだのは8人。新型コロナの感染拡大で東京五輪は大会直前まで実施の是非が問われた。それでも、ボクシング女子フェザー級で金メダルを獲得した入江聖奈選手(米子市出身)ら選手の奮闘が両県民を勇気づけた。安来高校(安来市佐久保町)のフェンシング部監督、渡辺大介さん(35)は「東京五輪が開催され、日本勢の活躍も印象深かった」とした。

 「金」「変」「耐」はそれぞれ5人が回答。コロナ禍が長引き、感染力の高い変異株が次々と現れ、我慢の日々が続く一方、ワクチン接種の浸透や経口薬の開発など光明も見えた。「変」を選んだ浜田市熱田町の公務員、下岡敦さん(30)は「世の中の雰囲気に変化が出てきた」と前向きに捉えた。

 人の縁の重要性を再確認したなどとして3人が「繋」を挙げた。今年、新社会人となった松江市西川津町の長谷川佳祐さん(23)は「仕事をする上でコミュニケーションを取る大切さを実感した」と話した。

 このほか、出雲市渡橋町の団体職員、大谷庸介さん(25)は「進」を選択。「今年一年、自分が思い描いていた将来像に向けて進めなかった自戒を込めた。来年こそは一歩ずつでも進みたい」と誓った。(取材班)