鳥取県内で3月下旬から新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が2件立て続けに発生した。感染者が急拡大した関西地方から持ち込まれた可能性があり、変異株のほか、感染力が強い比較的多量のウイルスが確認されているのが特徴だ。県は「第4波」との認識を強めている。 (藤井俊行)
倉吉市内の事業所社員寮で発生した中国地方初の変異株クラスター関連は、入寮者11人を含む計14人。また鳥取市内の接待を伴う飲食店でのクラスターは、送別会の2次会で利用した県職員8人を含む客21人と従業員2人の計23人のほか、陽性者の接触者として検査を受けた計17人も感染した。
県はウイルスが一定量に増えるまでの増殖回数を表す「Ct値」に注目。少ないほど、感染力が強いことを示す。
専門家の意見を参考に基準のCt値を「25未満」として調査した結果、鳥取市のクラスターを含め、3月29日から4月4日までに県東部で判明した陽性者43人のうち、Ct値25未満は19人。
第3波の最中とされていた昨年末から今年始めにかけて、境港市内で2件続いたクラスターの関連では1週間で3人、1月下旬に感染者が相次いだ鳥取市内でも1週間で5人にとどまっており、今回は突出した人数となっている。
4日現在確保しているコロナ対応の病床204床のうち、60床が埋まった。1月上旬の30%超に次ぐ高い水準となっており、政府分科会が示している指標「ステージ3(感染急増)」の25%を再び突破した。
病床に余裕を持たせるため、県東部の宿泊療養施設に、無症状者や軽症者の計6人が入っている。
平井伸治知事は「(ベッドの)提供が可能な病院と協議しており、順次整ってくる。当面の病床逼迫(ひっぱく)は回避できる」と説明。ただ鳥取市内の現状は、感染力が従来に比べ1・7倍との報告がある変異株並みとの考えで、1日には倉吉、鳥取両市に「新型コロナ感染増大警戒情報」を初めて発令した。
あらためてマスクの着用や手洗い、換気の徹底だけでなく、会食する際にはできるだけマスクを着用するなど、対策徹底を呼びかけている。