沖合いで漂流するコンテナ船
沖合いで漂流するコンテナ船

 5万トンを超す大型コンテナ船が島根県隠岐の島町久見の沖合800メートルにまで迫り、住民は座礁を案じて肝を冷やした。漂流した巨体は強風と高波が影響して、巡視船のえい航作業は難航。住民は「天候の回復を待つしかない」と祈るように見つめた。

 【写真】隠岐の島町沖で大型コンテナ船が漂流

 「遠くの水平線に見たことはあるが、港のすぐ近くとは」。久見漁港近くの展望台に車を止めた女性(77)は、コンテナ船をぼうぜんと眺めた。

 住民によると、1日午前の波高は3~4メートルで、午後はさらに高くなった。久見地区で朝から木の伐採作業をしていた河原孝明さん(69)は「だんだん近づいてきた。浅瀬に乗り上げて油が漏れたりしたら大変」と表情を曇らせた。

 久見区長の八幡正道さん(69)は雪が横殴りに吹き付ける中、双眼鏡を構えた。コンテナ船がいかりを下ろして止まった場所の水深は30~40メートルほどという。「海底までぎりぎりだと思うが、この天気ではどうすることもできない」と不安そうに海を見やった。

 (森山郷雄)