第三章 シャチョウの笑顔(10)

「大丈夫なのかなあ」

 訪問診療車のハンドルを握りながら、思った以上に不安な声が出てしまった。

「大丈夫とは言えない、よね。末期だし。私たちにできるのは、疼(とう)痛(...