子どもの健やかな成長を願って巨大な凧(たこ)を揚げる「いぐり凧揚げ」が10日、島根県隠岐の島町栄町の西郷中学校であり、初節句を迎える96人の名前が書かれた大型の凧を、親子連れが代わる代わる縄を引いて揚げた。
春の風物詩のいぐり凧揚げは江戸後期からの伝統があり、えぐったような10個の耳が「いぐり凧」の由来。隠岐いぐり凧保存会(田上一安会長、10人)によると、かつては父親が子どもの将来像の絵を描いていた。
大会形式で行われるようになり30回目。縦2・7メートル、横2・4メートルの祝い凧2枚が正月明けから丁寧に作られ、町内外の2021年生まれの名前がそれぞれに記された。
凧の骨組みを弓なりに張るテープが「ブーン、ブーン」という音を立てながら、春風に乗って舞い上がり、松江市春日町の浅生偉さん(34)は「晴れて風が強くてよかった」と笑顔。生後5カ月の長女日奈子(ひなこ)ちゃんと参加した隠岐の島町中村の主婦妹尾晶子さん(28)も「みんなで同じ凧を見上げて子どもの幸せを願うことができた」と喜んだ。 (鎌田剛)













