星野リゾート(長野県軽井沢町)が13日、高級旅館「界 出雲」(出雲市大社町日御碕)を11月16日にオープンすると発表した。2011年開業の「界 玉造」(旧・界 出雲、松江市玉湯町玉造)も同時に改装して島根県東部の2拠点体制を整え、新型コロナウイルス禍でも底堅い近隣客や富裕層の宿泊需要を取り込む。
20年春に経営不振で休業した「出雲ひのみさきの宿ふじ」の地上3階、地下1階の施設(延べ床面積4770平方メートル)を、所有する特別目的会社から借り、1月に改修工事を始めた。客室は従来の44室から39室に減らす。地元関連を含めた書籍を自由に読め、くつろぐことができる「トラベルライブラリー」を新設する。総工費や各室の詳細、宿泊料金などは公表しなかった。
出雲市への進出に伴い、1日に既存の「界 出雲」を「界 玉造」へ改称した。9月から11月15日まで休館し、全24室で出雲地域を連想させる内装へ改める。地酒を味わい、各酒蔵の歴史やこだわりを知る体験メニューを整える。
星野リゾートによると、「界 玉造」は、新型コロナ禍の20年以降に中国5県からの宿泊客が伸び、客室稼働率は7、8割を維持しているという。2拠点化により、新規顧客の獲得に加え、各旅館を組み合わせて連泊するリピーターらの増加を見込む。界ブランドの広報担当者は「豊富な観光資源を生かしたサービスを提供し、地域の魅力を宿泊客に伝えたい」と話した。
出雲市への進出は、20年6月に明らかとなり、土地を所有する市などが対応していた。
(石倉俊直)