序章 (十五)

 ようやっと渇きが癒えると今度は氷柱を呑み込んだように歯の根も合わぬほどの震えがきた。矢上は雨戸を閉め切った八畳へ行き、宙に浮かんだ白い夜光つまみを掴んで素早く三...