いよいよゴールデンウイークがやってくる。山陰両県では新型コロナウイルスの感染が続き、島根県では連休期間、県外往来を自粛するよう求められている。遠出が難しく、自宅で楽しむといえば、映画やアニメ。この連休のお供に最適な作品をレンタルDVD店の店長に紹介してもらった。(Sデジ編集部・吉野仁士)
今回の大型連休は4月29日~5月8日。祝日が土日にかぶらず、平日は5月2日と6日のみのため、最大10連休の長期休みになる人も。作品の時間が長いもの、続けて見ることができるシリーズものを中心にお薦めの作品を選んでもらった。
◯TSUTAYA角盤町店(米子市角盤町4丁目)

レンタルDVDを含む映像作品の品ぞろえは10万点を超えるという山陰最大規模の店。近藤光店長(39)のお薦めは?

・バック・トゥ・ザ・フューチャー(1985年)

「ジョーズ」や「インディ・ジョーンズ」の代表作で知られる、スティーヴン・スピルバーグが制作総指揮を務めたSF映画。高校生の主人公が友人の科学者の発明した車型タイムマシンを使い、過去に戻って自身の両親やさまざまな人々と触れ合うストーリー。
友情、恋愛、コメディといったさまざまなシーンが盛り込まれ、テンポ良く展開し、思わず引き込まれる。近藤店長は「昔の作品とは思えないほどの新鮮味がある。話も分かりやすく、子どもでも楽しめる」と魅力を話す。
3部作で、どれも物語は連続している。有名な作品だが、まだ見たことがないという人はこの機会にぜひ続けて見てもらいたいという。
・SING/シング(2016年)

擬人化された動物たちが暮らす世界を舞台に、動物たちが劇場の再建を目指して歌やダンスに打ち込むCGアニメ。動物たちは人前で歌えない内気な性格や、練習と家事の両立といったそれぞれの悩みを抱えるが、仲間たちと協力しながら大舞台を夢見て成長していく。
動物たちの境遇は誰しもが当てはまりそうで、自分と重ねて物語を見てしまいそう。声優を海外の歌手や俳優が務める点も魅力で、プロの歌唱を楽しめる。「愛らしいキャラクターたちが挫折を味わいながら夢をかなえていく姿を見ると前向きになれる」と近藤店長。現在、続編が劇場公開中なので、家族で見に行っても楽しそう。
・ナイトミュージアム(2006年)

博物館が舞台で夜になると、ティラノサウルスの骨格標本や動物のはく製といった展示物が動き出すファンタジー系の作品。博物館の夜間警備員の主人公が展示物に翻弄(ほんろう)される様子は、楽しみながら見られる。
自分の家にあるおもちゃや模型が動いたら…という、子どもの頃に誰しもが一度は考えた話を、壮大な物語として見ることができる夢のある作品。シリーズが3作品あり、どれも子どもから大人まで楽しめる。
子どもとあまり接点のない博物館が舞台のため、家族で作品を見た後、子どもを連れて県内の博物館に出掛けるいい機会になるかも。
・僕のワンダフル・ライフ(2017年)

少年に命を助けられた犬が主人公。犬は何度も生まれ変わり、さまざまな犬としての人生を送るが、少年に会いたい一心で、姿を変えながらも少年のために奔走する。犬のいちずな思いに感動する。近藤店長は「特にペットを飼ったことがある人は涙なしには見られない」と薦める。
コロナ禍でペットの需要が高まったと聞く。ペットと一緒に暮らすことの楽しさと命を扱うことの責任の重さを改めて感じることができる作品。
・映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者(2020年)

人気アニメの劇場映画28作目。地上の人々の落書きからエネルギーを得て成り立つ王国「ラクガキングダム」は、落書きの減少により存亡の危機に陥る。無理やり落書きをさせるために地上に侵攻してきた王国軍と、それを止めようとする主人公のしんのすけたちが戦う。
アニメ版ではギャグが多い本作だが、劇場版は見る人の世代ごとに考えさせられる内容が多い。今作も子どもは町のために戦うしんのすけたち目線で、親世代は戦う子どもたちの両親や、存続のために奮闘する王国側の目線などで違った見方ができる。
笑いだけでなく、ハラハラしたり泣けたりする場面があり、近藤店長は「ぜひ親子で見てもらい、物語をどう見たか話し合ってほしい」と呼びかけた。
近藤店長によると今回紹介の作品は、松江市や出雲市にあるTSUTAYAでも扱っているという。お薦め以外でも、同店では昔の名作映画やドラマシリーズなど、テーマごとにコーナーを展開している。店内を回り、見逃したドラマなどをこの機会に一気に見るのも良いかもしれない。
◯ゲオ鳥取安長店(鳥取市安長町)

続いては同じくDVD作品を多数取り扱うゲオ鳥取安長店。山本真也店長(39)が選んだ5作品は?

・竜とそばかすの姫(2021年)

インターネット空間を舞台に17歳の少女が成長していく様子を描いた長編アニメーション。現実世界では内気な少女が仮想空間で歌姫として有名になる一方で、竜の姿をした嫌われ者の謎のキャラクターと出会い、次第に打ち解けていく。
近年、子どもの会員制交流サイト(SNS)の使い方やネットでの誹謗(ひぼう)中傷が問題になっている。作中でも人々が竜の正体を暴こうと、無関係の人たちのプライバシーをさらすシーンなどがあり、子どもにネット空間について知ってもらう機会にもつながる。
・ジュラシック・パーク(1993年)

太古の昔に絶滅したはずの恐竜が特殊技術で現代によみがえり、恐竜を巡るさまざまな冒険が繰り広げられる有名作品。初代は主人公たちが恐竜のいる観光パークがある島を訪れるが、脱走した大量の恐竜から逃げるために奮闘するというストーリー。
恐竜に何度も襲われそうになるなど、迫力あるアクションシーンにハラハラすること必至。絶滅した生き物の物語を見られるということで、子どもたちから人気だ。山本店長は「親世代で見たことがある人は多いはず。ぜひ子どもと一緒に見てほしい」と話す。
全5作品があり、夏にはシリーズ最新作が劇場公開される。連休を使って予習、復習しておこう。
・6才のボクが、大人になるまで。(2014年)

タイトル通り6歳の少年と家族の軌跡を12年にわたってつづる人間ドラマ。描かれるのはごく平凡な日常だが、家族と過ごす何げない日々こそがかけがえのない時間だと、気付かせてくれる。
作中の設定と同様に監督と出演者は実際に12年かけて撮影したという。作品時間は165分に及び、作中のゆったりとした時の流れをリアルに感じられる。家族の大切な時間を見詰め直すことができる。時間がある時に見るにはぴったりの作品。
・ハッピーフィート(2006年)

南極を舞台にペンギンたちが歌って踊るミュージカル調のCGアニメ。通常のペンギンたちは歌で求愛するが、主人公のペンギンは歌が苦手。その代わり天才的なタップダンスの才能があり、他とは違った個性を武器にする。
陽気なミュージカル作品と思いきや、後半は主人公が国から追放されたり、謎のエイリアンにペンギンたちが捕らわれたりと、雰囲気ががらりと変わる。環境問題にも触れ、愛らしいペンギンのアニメを切り口にさまざまなテーマについて考えさせられる、意外性のある作品。
・LEGO(R)ムービー(2014年)

プラスチック製のブロックを組み立てるおもちゃ「レゴブロック」でできた世界で物語が繰り広げられる。ごく普通の建設作業員だった青年が偶然、周囲から伝説のヒーローと勘違いされ、世界の支配をもくろむ「おしごと大王」との戦いに巻き込まれていく。
世界的に人気のある子どものおもちゃが題材だが、平凡な主人公が知恵を働かせてブロックを活用し、世界を救おうと奮闘する姿に勇気をもらう。山本店長は「誰しも子どもの頃はブロックで何でも作ろうとした。ブロックは無限の可能性を秘めていたことを思い出させてくれる、童心に帰れる映画」と太鼓判を押す。
ゲオでの紹介作品もTSUTAYAと同様、島根県内の店舗でも借りられるという。
普段は仕事や家事、学校生活に追われ、鑑賞する時間がなかなか取りにくい映画やアニメ。たっぷり時間があるこの連休期間は長編やシリーズものの映画やアニメの世界にじっくり旅するいい機会になりそう。