4年前に亡くなった私の父は、野坂昭如氏の小説が原作のアニメ「火垂るの墓」をどうしても見ることができなかった。戦争中に経験した空腹の記憶を思い出すのが苦しいからだと言った。私は幼かった頃に、グラマン戦闘機からの機銃掃射で足の指を数本吹き飛ばされたという祖母の傷痕を見て大層恐ろしかった思い出があるが、父には長く続いた飢えがもっとつらいものだったらしい。

 今、人々にそんな苦しみをもたらす...