第一章(三十) 真奈

 出ていかないけど、と優吾が言ったあと、頬に優しく触れた。

「出ていったらどうするの?」

「泣く、すごく泣く……つらすぎて考えるのもつらい」

 その気持ちに嘘(うそ...