◆短歌 西 基宜選

高々に凧揚げの涯(は)て安からぬ自由を手繰る男(お)の子の心

雲 南 多田納 力

 【評】自らの夢を預けて揚げた凧(たこ)が舞い、夢が舞う。これで一安心。でも、心無い風が時おり凧をもて遊ぶ。手の届かない高空の凧を思い通りに手繰られない少年の心の内はどうだろう。空の自由は少年の思うほど安く手繰られないのだ。

健やかに老いゆくことを希ひつつ百歳体操作歌に励む

益 田 山本 貞人

 【評】「健やかに老いゆく」ためにはそれなりの注意努力が大切...