収穫したモモについて話し合うグローカル浜田のメンバー=浜田市高佐町
収穫したモモについて話し合うグローカル浜田のメンバー=浜田市高佐町

 【浜田】浜田市の市民団体が、農業を通じた持続可能なまちづくりを進めようと市内でモモ栽培に取り組んでいる。里山の荒廃を防ぎ、販売収益は市民向け講演会の開催費に充てて地域に還元する。メンバーは郷里の魅力を発信し続けたいと意欲を燃やす。

 栽培するのは市内の20~60代でつくる「グローカル浜田」(中山正代表)の16人。環境に優しい持続可能なまちづくりについての勉強会から始め、設立翌年の2000年から学びを実践に移そうと中山代表(63)が所有する高佐町のモモ畑(約2千平方メートル、5品種80本)の管理を団体で担う。

 大半が農業未経験者で、中山代表の指導を受け枝の剪定(せんてい)や摘花、袋がけに汗を流す。殺虫、殺菌剤の散布は年1回のみと環境に配慮し、市のふるさと納税返礼品や東京のレストランに出荷した実績もある。メンバーの来原祐子さん(55)=浜田市朝日町=は「子育てと同じで自然を守り続けるには手がかかることを学べた」と振り返る。

 モモの販売収益は全額を団体の活動費に充てる。今季は収量が少なく一般販売を断念したものの、4~9月の全6回で島根地理学会の神英雄会長を講師に招き市の魅力を史実から掘り下げる市民講座を企画した。

 中山代表は「浜田の将来を真剣に考える人の輪を広げたい」と話した。

 (中村成美)