大観賞を受賞した「音楽室は根の国」
大観賞を受賞した「音楽室は根の国」

 気鋭の日本画家として創作・発表を続ける川﨑麻央さん(35)=益田市出身、東京芸術大職員=が「再興第107回院展」で、悲願だった最高賞「大観賞」を勝ち取った。長く取り組んだ神話や神楽といった題材から脱却し、幼少期の記憶を下敷きに創作の幅を広げた。「思い切った挑戦だったが、評価を受けたことで今後の活動の勇気になる」と喜んだ。作品は島根にも巡回する。

 新境地を開いた。2016年以降は「岩戸」「国引き神話」といった神楽や神話を基にコラージュ手法を用いた表現方法に挑戦。20年の第75回春の院展では最優秀の郁夫賞を受賞し、再興院展でも21年まで3年連続で奨励賞を得て、同年に日本美術院の「特待」に昇格した。

 評価を高めた反面、神話を描く難しさを徐々に痛感した。21年の奨励賞の受賞を機に「もっとささいな、個人的感覚を基に創作したい」と模索を始めた。

 試行錯誤の末に描き上げ、大観賞を受けた「音楽室は根の国」(縦1・7メートル、横2・15メートル)は、小学生の頃の記憶と感覚から構想。音楽室で友達と遊んだ椅子取りゲームや教室の雰囲気など「より強く自分の中に残っているもの」を拾い上げて膨らませた。音楽室に飾ってあったモーツァルトやベートーベンの肖像画のイメージを落とし込んだ。タイトルの「根の国」は神が集まる場を意味する。

 春、秋両院展で最高賞に輝いた。「今後は、より極小(身近)なことの中に神話に通じる不思議なことを見いだしたい」と、次回作の創作へ意欲を示す。

 今回の再興院展には431人が公募。入賞した265作品の中から、同人の投票により大観賞が2人選ばれ、得票数の多かった川﨑さんは東京都知事賞も合わせて受賞した。9月1日から東京都美術館で開幕し、10月8日~30日に足立美術館(安来市)、2023年5月27日~6月18日に今井美術館(江津市)を巡回する。
       (白築昂)