【海士】承久の乱(1221年)で敗れた後鳥羽上皇が隠岐諸島の中ノ島に配流された当時の足取りを、みこしを担いでたどる初めての祭礼「島一周神輿(みこし)渡御(とぎょ)」が10日、島根県海士町海士の隠岐神社から出発し、参加した住民300人が神楽や民謡も披露して上皇の来島に思いをはせた。
来島800年記念顕彰事業の一環で実行委員会が主催。上皇が同町崎から上陸し、隠岐神社の近くまで移動したという伝承をもとに、11日までの日程で陸路と海路で町内を一周する。
隠岐神社で村尾周宮司が神事を執り行った後、神霊をみこしに移した。御波地区の道中(どうちゅう)神楽が先導し、海士小の児童53人と認可外保育園「お山の教室」の園児15人がみこしを引いて歩いた。途中で福井小の5、6年生17人に引き継いだ。
豊田地区から参加した住民11人が手こぎの船に乗り、船頭のかけ声に合わせて船方が歌う「ホーラエンヤ」を披露。みこしを載せた渡船を引いて進み、夕方に渡船は崎地区へ着岸した。
13年ぶりのホーラエンヤを指導した同町豊田の山下照夫さん(74)は「若い人が減ってできなくなっていたが、この機会にやってみた。みんなのやる気が湧いてきた」と喜んだ。
(鎌田剛)