秋冬に向けて衣替えをするシーズンが来た。不要な服を無理なく減らす方法、必要な物をすっきりと収納するためのポイントを、整理収納アドバイザーに聞いた
秋冬に向けて衣替えをするシーズンが来た。不要な服を無理なく減らす方法、必要な物をすっきりと収納するためのポイントを、整理収納アドバイザーに聞いた

 暑さが和らいでくると、秋冬に向けて衣替えをしなくてはならない。「面倒くさい」「どうやって進めたらいいのか分からない」といった悩みを解決するため、収納アドバイザーにポイントを聞いた。(Sデジ編集部・宍道香穂)

 教えてくれたのは片付けのこつを伝える「整理収納アドバイザー」として出雲、松江を中心に活動している今岡信子さん(49)。今岡さんは「衣替えを負担に感じる理由は、服の量が多いから」とし、不要な服を無理なく減らすことが大切と助言した。

整理収納アドバイザーの今岡信子さん

 量が多いと「気が重い」「面倒くさい」と、手を付けるまでが大変。いざ衣替えを始めても一日がかりとなる場合がある。服の数を減らすと管理が楽な上、衣替えにかかる時間を大きく削減できる。今岡さんは毎回、衣替えには「30分もかからない」と話した。具体的な手順やポイントを教わりながら、実際に衣替えをしてみた。

衣替え前のクローゼット。どこに何を入れるかを決めず、衣類や小物、紙袋のストックなどを「なんとなく」収納しているため、使い勝手はあまり良くない

▷片付ける前の一手間で服が半減
 薄手の長袖や羽織り物といった春服、秋服は冬に重ね着するなど着る機会が多いため、一年中出しておいても問題ない。冬に着る分厚いセーターや夏に着るタンクトップなど、はっきりと冬服、夏服と区別できる物を衣替えの対象にする。

薄手の長袖や長ズボンは着る機会が多いため、一年中出しておいても問題ない。同じ引き出しに収納してまとめる

 まず、ハンガーに掛けている服や引き出しにしまっている夏服を全て出して「一度でも着た服」「一度も着なかった服」に分ける。今岡さんは「重要なのは、着るか着ないかではなく、着たか着なかったか、事実だけを考えること」とアドバイスした。

まずは夏服を全てクローゼットから出し、今シーズンに着た服と着ていない服を分ける。今回はタオルや紙袋、かばんなど、スペースを圧迫していたものも整理する

 服を捨てられない人は「高かったから」「また着るかも」「もったいない」「痩せたら着たいから…」と、感情に振り回されていることが多いという。「着るかも」「着たい」といった感情は排除し、「着たか着なかったか」の事実のみを判断基準にすることがポイントだ。

今年の夏に一度も着なかった服、使わなかったかばんをまとめ、次に衣替えをするまで別の場所で保管しておく。不要だと思ったら処分し、再び着たくなればクローゼットに戻す

 服を分けたら、着なかった服をひとまとめにして保管する。着なかった服をすぐ手放せる人は処分し、なかなか手放せない人は次の衣替えまで別の場所で保管しておく。着た服と分けて保管すると不要と認識できて手放しやすくなるという。クローゼットの上に付いている棚など、手が届きにくい場所に置くと邪魔にならない。一度でも着た服は衣装ケースやオフシーズン用の引き出しに収納する。明らかに着ないと感じた服は「処分品」として別の場所にまとめる。

着なかった服はクローゼットの上に付いている棚など、手が届きにくい場所に置くと邪魔にならない
夏服の中で「確実に着ない」と判断した衣類は処分する。使わないハンガーや、余分な紙袋のストックも処分することにした

 服を分けていると「1~2回は着たが、ほとんど着ていない服」が多いと気づいた。今岡さんに相談すると「とりあえず、1回でも着たのであれば「着た服」に分類してください」とした上で「デザインがあまり好きでない、着心地が良くないなど、何かしら理由があるのかもしれません」とのこと。確かに、どれも着心地が気に入らなかったり、自分に似合っていない気がしたりと、着たくない理由があると気づいた。自分の好みや体型をもとに、気に入っている服、気に入らない服を分けてみるとスッキリした。

▷収納のこつを抑えて「使いやすいクローゼット」に

 夏の服を片付けたら、冬の服を収納する。使い勝手を良くするためには、収納する時のポイントがいくつかある。今岡さんに教えてもらった。

収納のこつ① 「ゴールデンゾーン」を意識
 使う頻度が高い物は「ゴールデンゾーン」を意識して収納する。ゴールデンゾーンとは胸から腰にかけての高さで、ここに収納している物は、しゃがんだり背伸びしたりせずに物を出し入れできる。下着や仕事着など頻繁に使う物は、突っ張り棒を使ってハンガーにかけたり、取りやすい段の引き出しにしまったりと一工夫すると、取り出すのがグッと楽になる。

頻繁に着る服や使う物は、しゃがんだり背伸びしたりせずに取り出せる「ゴールデンゾーン」に収納すると良い
よく使うかばんや靴下、タオルも「ゴールデンゾーン」に収納。かごに入れて引き出しの上に置き、取り出しやすくした

収納のこつ② よく使う物は手前に!
 仕事で頻繁に着る服や定番の普段着など、着用する機会が多い物は引き出しの手前に収納すると取り出しやすく便利。ハンガーに掛けている場合は利き手側に寄せておくと取り出しやすい。靴下や部屋着、タオルは同じ物ばかり使っていると傷みの原因になるため、洗濯したら奥側にしまう、使う時は手前から取り出すといった工夫をして、まんべんなく使えるようにすると良い。

引き出しに入れる衣類は立てるように収納すると、どこに何があるのか分かりやすい

収納のこつ③ 使うタイミングも意識
 収納場所を決める時は「下着」「普段着」「仕事着」とジャンルで分けるだけでなく「いつ、どこで着るかを意識するといい」と今岡さん。
 例えば脱衣所にパジャマや下着を収納しておくと、風呂に入るたびに部屋から持って行く手間が省ける。朝、リビングで着替えをする人は、寝室ではなくリビングに普段着用の引き出しを置いておく方が効率良く着替えられる。

 「衣類は全て寝室のクローゼットにしまう」「下着も普段着も同じタンスに入れている」という人は自分の生活様式や家の間取りに合わせて置く場所を変えてみると、使い勝手がグッと良くなりそう。

▷衣替え=持っている服を整理できる機会
 不要な服は、インターネットのフリーマーケットに出品する▽知り合いに譲る▽寄付する-などさまざまな方法で手放せるが、今岡さんは「リサイクルショップに持って行くのが手軽」と話した。梱包する手間や送料の負担が煩わしい人は、パッと引き取ってもらえるリサイクルショップはお薦めという。

衣類をすっきりと収納するポイントを説明する今岡さん

 住居の形や収納スペースの広さによっては「一年分の服を出しているため、衣替えをしない」という人もいる。衣替えの手間が省けるのは良いことだが、持っている服の種類や量を見直す機会を逃してしまう人もいるかも知れない。今岡さんは「例えば、着た服を戻す時に「右側にハンガーを掛ける」「手前側にしまう」といったルールを設定しておけば、着ない服が自然と左側や奥側にたまっていく」とアドバイス。しばらく着ていない服が自然と「見える化」される手軽な方法だ。

 衣替えは面倒だが、工夫次第で簡単に済ませられるし、持っている服や好みの変化を見直す良い機会になる。整理、収納のこつを抑えて必要な物やお気に入りを厳選し、スッキリとした気分で秋冬を迎えたい。