松江市島根町野波地区で23日、獅子の面などをかぶった「ガッチ」と呼ばれる男衆が、無病息災を願い街を練り歩く奇祭が3年ぶりにあった。ガッチは奇声を発しながら、わらで編んだ「シッボ」で住民たちをたたいて回り、怖がる子どもの泣き声と住民たちの笑い声であふれた。
地区内の権現山にあった日吉神社が1909年に日御碕神社に合祀(ごうし)されて以来続く祭り。神の使いとされる面をかぶった白装束のガッチは、奇声を上げながら住民らをシッボでたたいたり、獅子頭でかみついたりして大暴れ。「お決まり」の奇声と泣き声が久しぶりに響いた。
近くの角田祐吉さん(75)は「昔ながらの伝統がある。2年間寂しかったが、たくさんの住民たちでにぎやかになってうれしかった」と話した。
昨年、一昨年は新型コロナウイルス禍の影響で開催できず、今年もいったん中止が決まっていたが、ガッチ役を担った上手組の要望もあり、コロナ対策をして開催にこぎ着けた。祭りの準備を担った紅花博志さん(62)は「伝統ある祭りを開催でき、楽しかった。次の世代にも思い出になる」と話した。
(古瀬弘治)