日置食品店が手がける豆腐や油揚げ
日置食品店が手がける豆腐や油揚げ

 食卓の主役の豆腐と油揚げ作りに励むのは、45年続く日置食品店(安来市広瀬町奥田原、日置辰徳代表)だ。近年、パッケージの刷新を機に販路が広がった。風味豊かなコクのある味わいを求め、大豆、にがり、水だけの繊細な豆腐作りと今日も向き合う。

 日置代表(38)は高校卒業とともに跡を継いだ3代目。20年を迎えてもなお、「毎日同じ豆腐は作れない」と難しさを語る。気温、湿度、大豆を火にかける時間やにがりを入れるタイミングの細かな違いで味が変化する。だからこそ、人の目と手作業に頼る製法を変えることはない。



 原料の大豆は、北は北海道、南は九州から甘さや固まり具合に応じてブレンドし、味や食べやすさに工夫を凝らす。2019年の中四国ブロックの豆腐品評会では、なめらかで甘みが強い「おぼろ豆腐」が銀賞を受賞した。

 同年11月、創業以来の豆腐のパッケージを変更。デザイン性と統一感を意識した包装が販路の拡大に大きく貢献し、納入先は18年の7店舗から、安来、松江、雲南3市の25店舗にまで増加。おぼろ、絹ごし豆腐を中心に2~3倍に納入数が増えた。今年9月、安来市のふるさと納税の返礼品にも起用された。

 品評会への参加により全国の豆腐店とのつながりができ、製造技術や販路開拓などについて情報交換している。地域に根ざした豆腐屋であり続けるため、大山産の大豆を使った商品開発にも挑戦。日置代表は「おいしい豆腐ができる自信がある。これからも質の高い豆腐をお客さんに届けたい」と力を込める。