<毎日難儀なことばかり 泣き疲れ眠るだけ…>。重苦しい歌詞なのに、脱力系のゆったりとしたリズムが心地よい。夫婦デュオのハンバートハンバートが歌う『笑ったり転んだり』。ご存じ、朝ドラ『ばけばけ』の主題歌だ。
作詞と作曲を手がけたのが、夫の佐藤良成さん。最初は「どんな曲を作ったらいいものか」と悩んだそうだ。思い付いたのが、ドラマのモデルになった小泉セツが書いた『思ひ出の記』をただただ繰り返し読むこと。「自分がセツになったつもりで一気に作りました」と振り返る。
なるほど、セツが夫・小泉八雲との結婚生活を回想した『思ひ出の記』には、思い当たる逸話がある。松江から熊本に移った当初、八雲から「大層面白いところを見つけました。明晩散歩致しましょう」と誘われたという。<今夜も散歩しましょうか>というサビ部分につながる。
回想記で気になったのが八雲の“島根愛”の強さ。「ヘルン(八雲)は辺鄙(へんぴ)なところ程好きであったのです。東京よりも松江がよかったのです。日光よりも隠岐がよかったのです」。東京一極集中が一向に是正されない現代。八雲の行動や思考が地方創生のヒントにならないものか。
新しい年が明けた。2番の歌詞にある<日に日に世界が悪くなる>は物価高に苦しむ今の暮らしに通じる。それでも人生は「笑ったり転んだり」。難儀なことばかりでも毎日笑顔で過ごしたい。(健)













