鳥取県東部と兵庫県北部に伝わる重要無形民俗文化財・麒麟(きりん)獅子舞の団体が一堂に集まる「麒麟獅子舞フェスタ」が、11月6日に鳥取市尚徳町のとりぎん文化会館で開かれる。22団体が出演し、地域ごとに違いがある獅子頭や舞を楽しめる。継続開催を目指しており、関係者は「舞を広める機会にしたい」と準備に力を入れる。
麒麟獅子舞は1652年、初代鳥取藩主・池田光仲が鳥取東照宮の祭礼で始めたとされる。麒麟は優れた政治を行うと現れるといい、曽祖父の徳川家康のような立派な藩主だと知らしめるためだったと考えられている。鳥取市の神社を中心に広がり、鳥取県教育委員会が2014~17年度に実施した調査では、135の神社で計132頭が舞っているのが確認された。
獅子頭は面長で1本の角があり、あやし役の霊獣・猩々(しょうじょう)とともに笛や太鼓の囃子(はやし)に合わせて舞う。獅子頭は地域によって鼻の形や目つきが異なり、囃子や舞の動きにも違いがある。
新型コロナウイルスの流行で各地の神社の祭りが中止となったため、披露の機会を望む声があった。実行委構成メンバーの「因幡麒麟獅子舞の会」が発案。同会事務局次長で実行委事務局を務める山本修さん(67)は、担い手発掘には神社以外でも舞が見られる環境が必要とし「見ることでやってみたいと思ってもらいたい」と期待する。
荒木三嶋神社(鳥取市秋里)の「秋里伝統文化を保存する会」は当日に向けて練習を重ねる。獅子役の坂本浩之さん(42)は「大きい舞台に出られるのは光栄。ゆっくりと舞う持ち味を発揮したい」と意気込む。
入場無料。午前10時~午後4時半。3団体が同時に舞う3頭舞、担い手らによるパネルディスカッションもある。問い合わせは山本さん、電話090(3375)0191。
(岸本久瑠人)