新鮮な魚介類を販売するHATONOVA三光丸境港の店内=境港市相生町
新鮮な魚介類を販売するHATONOVA三光丸境港の店内=境港市相生町

 鮮魚小売り・卸業の(有)三光水産(境港市弥生町、浜橋多聞社長)が境港市相生町に複合施設「HATONOVA(ハトノバ)三光丸境港」を開店した。客が新鮮な魚介類を購入し、その場で焼いて食べられる施設を市内で初めてオープン。境漁港と水木しげるロードをつなぐ好立地を生かし、地域全体の観光振興にも寄与したい考えだ。

 同社は松葉ガニを中心とした海産物の小売りを境港水産物直売センター(同市昭和町)内の店舗で約40年営業。20年前からインターネット通販に乗り出し安定的な経営を続ける一方、選別場や活魚槽の置き場が手狭になったため、3年ほど前から新たな作業場用地を探していた。

 浜橋社長(46)は、多くの来店者から「漁港なのに境港には新鮮な海産物を食べられる場所がないのか」と問われていたことから、作業場の建設と同時に、鮮魚小売りのほか、その場で食べられるフードアミューズメントパーク化の構想を思い描いた。知人の紹介で島根銀行境支店に相談し、プロジェクトチームを組んで事業化に乗り出した。

 互いにアイデアを出しながらイメージを固め、島根銀は敷地所有者への交渉を重ねて用地を確保したほか、地元企業とのビジネスマッチングや補助金の申請など資金調達で協力。水木しげるロードと直売センターの中間地点の土地(約990平方メートル)に、鉄骨2階建て(延べ床面積約420平方メートル)の施設を建設した。投資額は約2億円で一部に国の事業再構築補助金を充てた。

 施設内には鮮魚の直売所と、じか火でバーベキューができる「浜焼きひろば」を設け、地元の漁師飯や回転ずしが堪能できる飲食店2店舗も誘致した。10月中旬のオープン以降、平日で平均約100人、土・日曜日と祝日で約300人が訪れ、上々の滑り出しという。

 浜橋社長は「施設ができて満足ではなく、お客さんに絶え間なく来てもらえる店にして、境港を活気づけたい」と話した。