舞妓を描いた日本画を鑑賞する来場者=浜田市三隅町古市場、石正美術館
舞妓を描いた日本画を鑑賞する来場者=浜田市三隅町古市場、石正美術館

 75年の画業で女性美を追求し続けた浜田市出身の日本画家・石本正氏(1920~2015年)の企画展が同市三隅町古市場の石正美術館で開かれている。柔肌を透き通るように美しく描くとともに、仏像・仏画やルネサンス絵画で感じ取った色気をさりげなく盛り込んだ裸婦、舞妓(まいこ)など74点が並ぶ。6月27日まで。

 石本氏の生誕100年を記念した企画展のタイトルは「描かれた肌」。好みの画家・竹久夢二の詩に着想を得た裸婦画「宵待草」は目元や鎖骨に薄く隈(くま)取りを施し、恋に苦しむ女性の沈うつさを細やかに表現し、仏画の影響がうかがえる。「クラナッハの女」は小さい乳房に長い手足というルネサンス絵画の特徴を取り入れ、しなやかに裸体を描く。

 石本氏がよく手掛けた舞妓の作品も、デッサンを含め多数展示。おしろいを塗った上品な顔立ちとは反対に、舞妓たちの日焼けした手の浅黒さが印象的だ。親元を離れて地方から京都に出てきたばかりの戸惑いや、あどけなさが憂いを帯びた表情から伝わり、横山由美子主任学芸員は「自然なデフォルメで自分の世界観を表現しているところが魅力」と話す。

 山口市阿東嘉年下から訪れた上田尚紀さん(80)は「以前から石本作品に親しんでいる。肌や表情、女性たちが身にまとう衣装がすごくいい」と語った。月曜日は休館。(板垣敏郎)