外務省が近年、12月に公開する外交文書は、30年前の1990年前後の案件が中心だ。湾岸戦争やソ連崩壊、中国の天安門事件など、激動の時代と言っていい。秘密の全てが明らかになるわけではないが、当時の報道ではつかめなかった首脳の発言が表になり、専門家の評価にさらされる。
21日に公開された19冊、約6800㌻のファイルで個人的に目を引いたのは、91年8月の海部俊樹首相の訪中だ。学生が先導して民主・自由を求めた中国の国民が自国軍に銃撃された89年6月4日の天安門事件以降、中国を非難した先進国(G7)の首脳としては初めての訪問で、中国の国際社会への復帰の道を開くきっかけとなった。
天安門事件に対し、...