第168回直木賞に選ばれた千早茜さんの「しろがねの葉」(新潮社)は、戦国末期から江戸時代にかけ、石見銀山の町で生き抜く女性の人生を描いた物語。著者の取材や資料提供で執筆に協力した石見銀山資料館(大田市大森町)の仲野義文館長(57)は、男社会の銀山の物語を女性で描く視点が新しいとし「よく勉強して鉱山を理解し、本質が小説で展開されている」とたたえた。

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 3、4年前に編集者を伴い千早さんの訪問を受けた。寡黙ながらも若々しく「歴史に興味があるのかな」と印象を抱いたという。その後、銀山で数々の重要な役割を担った宗岡家や、銀の積み出し港として栄えた温泉津などに関する資料、報告書を送った。

 江戸時代の鉱山は落盤の危険や粉じんなどの鉱毒にむしばまれる過酷な労働環境。30歳で長寿の祝いをするほど労働者は短命だっといわれ、先立たれた妻が再婚するケースもあった。作品は貧しい農村から夜逃げし両親とはぐれた主人公・ウメが銀山で育ち、男女差による理不尽を味わい愛した男たちの生を見届ける。

 夜目が利くというウメの設定で...