海外遠征から戻った直後で、時差ぼけが残っていたのかもしれない。練習相手に大外刈りをかけられ、その場にうずくまった。右足前十字靱帯(じんたい)の損傷だった。2008年3月、柔道78キロ級の野島さえ(39)=旧姓中沢=は、北京五輪の代表選考のまっただ中にいた。

 医師には「手術が必要だ」と言われたが、それでは半年後の本番に間に合わない。ごまかしながら競技を続け、何とか代表の座は手にした。ただメダル候補として臨んだ五輪は、実力を発揮できないまま初戦で敗...