住宅や商業地などの開発を促す市街化区域と、抑制する市街化調整区域を分ける「線引き制度」について、松江市が廃止にかじを切った。高度経済成長期に導入し、人口減少社会を迎える中で、新たな土地利用制度の構築を進める。判断に至った背景や今後の課題を探る。

線引き廃止が問うものー松江市の決断(下) 地域ごとの将来像示せ土地規制見直しに賛否

 「時代の流れとともに、合わなくなった」

 松江市の上定昭仁市長は14日の記者会見で制度の廃止理由を語った。

 線引き制度は1970年に設けられ、無秩序な開発に歯止めをかけてきた。ただ、調整区域では、住宅建設や企業誘致、商業地開発が困難といった土地利用の不平等感を訴える声が根強くあった。長年にわたって市民の間で賛否が二分し、市政は存廃議論に揺れ続けてきた。

▼制度が足かせ

 決断の背景には、市が目指すまちづくりに対し、...