◆短歌・安部歌子選

退院を卒業と言うスタッフと共に歩みしリハビリの日々      奥出雲 小川寒四郎

  【評】卒業という言葉に作者は感激した。親身になって支えてくれたスタッフへの感謝の思いも、送り出すスタッフの喜びも伝わる。下句に作者の思いがこもる。

複数のタイヤの跡は見えれども誰にも会わず雪の日暮るる     江 津 餅田美代子

  【評】大雪の中を出かけなくてはならなかったのだろうか。雪道に残るタイヤの跡に焦点を当て大雪を詠う。雪の深い一日を思わせる下句の気負いのない表現がいい。 ...