▽短歌(寺井 淳選)

子どもらの住む都会へと越す友に少し熱めのお茶を注ぎ足す

 隠岐の島 重栖 一輪

 【評】老齢の一人暮らしの困難から、子どもの住む(世話や介護のしやすい)都会へとゆくという友人。おそらく、もう会えないであろうという気持ちを込めたお茶の熱さに、惜別の思いがこもっている。

宅配のトラックがゆく田舎道つぎのお家は一山向こう

 隠岐の島 高橋 恭子

 【評】たとえ離島の配送料割り増しが付いてきても、宅配便とスマートフォンのセットは、今や生活に欠...