大江健三郎氏が死去した。メディアでは「一つの時代の終わり」といった追悼が散見された。

 大江氏を特別扱いするつもりはない。とはいえ1935年生まれの大江氏は敗戦時に10歳で、戦前から戦後の価値観の転換を経験したほぼ最後の世代にあたる。大江氏の...