「何言っとんのかわからん。ちゃんとしゃべれ」。電話口の男性はいら立たしげにそう言った。名古屋市にある精神科に特化した訪問看護ステーション「らしさ」の看護師、伊神敬人(44)が、電話で病院に患者の病状報告をしたときのことだ。「またか」。伊神は、そんなときたまらなく悲しくなる。

 小学校に上がったとき、初めて「あれ、自分は変なのかな?」と思った。「い、い、い、いかみ」というしゃべり方を同級生がまねして笑う。それまでは家庭では気にならなかったのに。

 父親にも、...