古代の幣帛とは、神々へ捧(ささ)げる全ての物を表す言葉の一つであった。

 わが国では、飛鳥時代頃(7世紀後半)に古来の伝統を継承しつつ、古代中国の唐令を参考に神事、祭祀(さいし)の制度化が図られた。国家祭祀の統制機関として神(じん)祇(ぎ)官(かん)を設け、法律としての「神祇令(じんぎりょう)」が定められた。これ以後、奈良・平安時代に、天皇を中心とする、いわゆる律令(りつりょう)祭祀が成立、展開、変容を遂げていく。

 「神祇令」には、多くの祭祀が規定される。特に、仲...