「次の映画の題材になるかもしれない」。2002年12月、周防正行(64)は、全国紙の記事を読み、こう思った。

 記事の見出しは「『痴漢無罪』粘り強く立証」。東京都の会社員男性が電車で通勤する途中、痴漢と間違われ、逮捕された。一審は実刑判決だったが、大学時代の友人らが、電車内を再現する動画を製作して犯行は不可能だと立証。東京高裁は逆転無罪を言い渡し、確定した。

 周防が監督した映画「シコふんじゃった。」「Shall we ダンス?」は相撲や社交ダ...