破産手続き開始決定を受けた長岡屋が直営する白潟店=松江市白潟本町
破産手続き開始決定を受けた長岡屋が直営する白潟店=松江市白潟本町

 「長岡屋茂助」の屋号で知られ、山陰を代表する特産品「あご野焼」を製造、販売する長岡屋(松江市矢田町、長岡誠一郎社長)が松江地裁に自己破産を申請し、13日付で破産手続き開始決定を受けた。新型コロナウイルス禍による売り上げ減少で債務超過に陥り、事業継続を断念した。負債総額は約5億7800万円。

 帝国データバンク松江支店によると、同社は1738(元文3)年創業の老舗(しにせ)。トビウオを原料とする「あご野焼」を主力とした水産練り製品を製造し、地元百貨店をはじめ、スーパーや土産物店に販売。松江、出雲両市に設けた直営店では総菜や弁当も販売して業容を拡大し、2018年5月期は2億6700万円を売り上げた。

 コロナ禍で県外観光客らが減って土産物需要が落ち込んだほか、魚食離れといった食習慣の変化も影響して売り上げが伸び悩み、22年5月期は1億7千万円に低下した。松江市内に建設した本社新工場関連の経費や、近年の人件費増が追い打ちをかけて資金繰りが悪化し、事業継続を断念した。
(石倉俊直)