自作について解説する藤原正さん(右)=出雲市浜町、出雲文化伝承館
自作について解説する藤原正さん(右)=出雲市浜町、出雲文化伝承館

 【出雲】出雲市下古志町の建具師、藤原正さん(59)による組子細工展が同市浜町の出雲文化伝承館で開かれている。曲面をつくる独自技法「格子縁組み」で制作したびょうぶなど約30点を並べ、木工芸の奥深さを伝える。

 藤原さんは、書院障子などの建具製造に励む一方、培った審美眼、技術を生かして美術工芸品も制作。県展で最優秀の県知事賞を2度受賞し、2020年度には国の「現代の名工」に選ばれた。

 個展開催は初めてで、材木は杉を中心にサワラ、桑などの良材を選び、布施(隠岐の島町)の古木杉、鳥海山(秋田、山形両県)周辺で掘り出された神代杉も使用。

 木目が際立つ板を細く切って等間隔に組み、曲面をつくる「格子縁組み」で仕上げたびょうぶのほか、色合いの違う材木を「木彩(もくさい)(木画)」と呼ぶ寄せ木細工技術で表現した壁掛けなどが並ぶ。

 藤原さんは「木工芸の仕事で大切なことは、素材の個性を生かした使い方をすること」と話し、来場を呼び掛けた。

 7月4日までで、観覧無料。月曜日は休館。

      (松本稔史)