【邑南】島根県邑南町矢上の初夏の風物詩、火舟祭がこのほど、4年ぶりに開催された。住民約150人が威勢のよいかけ声を上げながら、ちょうちんが飾り付けられた巨大な舟形の屋台を引き回した。
祭りは厳島神社(広島県廿日市市宮島町)の管絃(かんげん)祭の流れをくみ昔から行われていたとされる。矢上地区にある厳島神社の分霊が祭られたほこら近くから、約1キロ離れた諏訪神社までご神体をコメや野菜とともに運ぶ。一度途切れた後、1975年からいわみ中央自治会青年部が受け継ぐ。
参加者は全長約15メートル、重さ3トンの舟を「わっしょい」と元気よく声を上げながら引き、地域を練り歩いた。舟には女装した青年たちがご神体の護衛役として乗り込むのが習わしで、沿道からの撮影に笑顔で応えていた。神社では砂袋を並べて段差をなくした階段を舟が一気に進み、無事に境内にたどり着いた。
自治会の山本広達会長(69)は「4年ぶりの開催だが、思った以上に若い人が多く参加してうれしかった。地元の重要な行事としてこれからも続けていきたい」と喜んだ。(吉野仁士)