「永井紗耶子さんの『木挽町(こびきちょう)のあだ討ち』に決定いたしました」

 7月19日の18時20分を過ぎた頃に、電話口で確かに女性はそう言った。

 その日、私は歌舞伎座横の文明堂のカフェにいた。担当編集者たちと共に一報を待つ、いわゆる「待ち会」のため...