2003年のセンバツ初戦、試合中にナインに声をかける白野勝さん
2003年のセンバツ初戦、試合中にナインに声をかける白野勝さん
著書「野球の子 盟友」を手にするかみじょうたけしさん=兵庫県西宮市、阪神甲子園駅駅前広場
著書「野球の子 盟友」を手にするかみじょうたけしさん=兵庫県西宮市、阪神甲子園駅駅前広場
2003年のセンバツ初戦、試合中にナインに声をかける白野勝さん
著書「野球の子 盟友」を手にするかみじょうたけしさん=兵庫県西宮市、阪神甲子園駅駅前広場

 高校野球大好き芸人として知られる松竹芸能のかみじょうたけしさん(45)が、7月に刊行された著書「野球の子 盟友」(二見書房)で、2003年春の甲子園に出場した隠岐高校のエースと監督のエピソードを取り上げた。離島から大舞台に立った師弟の当時とその後に焦点を当て「野球と真っすぐ向き合う姿を多くの人に伝えたい」と話している。



 

 

 著書は、高校野球を戦った選手の人生や、忘れられない試合の裏側に迫るノンフィクションで、15本のエピソードを収録。最終章の「隠岐の白波」で、21世紀枠で選抜大会に挑んだ主戦の白野勝さん(37)と、当時監督の嶽野正樹さん(45)を紹介した。

 島の期待を背負って出場した隠岐高校は初戦で大敗を喫したが、夏の島根大会では決勝に駒を進め、甲子園で4強入りした江の川(現・石見智翠館)と接戦を演じ、実力を証明した。著書では、嶽野さんが「うれしかった」と振り返り「マサル(勝)にみんながついていった」と当時のチームを語っている。

 かみじょうさんが、故郷の島根県西ノ島町で学童野球のコーチを務める白野さんを訪ねる場面もあり、少年たちと勝利を目指す姿から、今も変わらぬ野球への情熱を伝えている。

 かみじょうさんは「嶽野監督は白野さんがいないところで褒めるんです。野球と向き合う中で築かれたそんな師弟関係を率直にいいなあと思いました」と取り上げた理由を話した。

 隠岐高校は現在、部員不足に直面する。白野さんは「本を通じて隠岐の野球を知ってもらえたらうれしい」と話し、再び母校が甲子園の土を踏むことを願った。現在は松江南高校監督の嶽野さんも「今でも選手たちに話すほど自慢の教え子」と、これからも当時のチームを語り継いでいく。

 高校野球をはじめ年間約100試合を観戦するかみじょうさんは、山陰両県にも足を運ぶことがあると言い、両県の球児に向けて「『自分から野球を取ったときに何が残るか』を考え、悔いが残らないようプレーしてほしい」とエールを送った。

  (黒崎真依)