「戦後」78年の夏である。現在進行中の戦争に、いかに対峙(たいじ)しうるかを考え、過去の戦争を問う文学がある。かつてソビエト連邦を構成した国のひとつであるエストニアを舞台とする宮内悠介「ラウリ・クースクを探して」(「小説トリッパー」夏号)は、ロシア・ウクライナ戦争に対する日本での一般的な見方を相対化しつつ、軍事侵攻を批判的に問う。

▽科学の夢

 19...